A CAT'S EDEN

ツールや機能の紹介と、ゲームや落語などの趣味について。



【落語】口腫れ

この前口内炎になったのをいいきっかけとして、自分でも口内炎の落語「口腫れ」を作ってみました。

昔の人も口内炎ができると大変だったのでしょうね。

落語の定番パターンの、「八五郎」と「ご隠居さん」の会話です。

素人が作った拙い内容ですが、良ければ読んでみて下さい( ;∀;)

 

八五郎

(家の戸を開ける)

「ご隠居さん、いるかい」

 

ご隠居

「おや、八っつぁんじゃないか、どうぞあがっておくれ」

「元気にしていたかい?」

 

八五郎

「ご隠居さん、それがですね、聞いてもらいてえんですがね、ちょっとばかし前から口ン中にたくさん腫れモンができちまいましてね、何やっても痛えんですよ」

「腹が減ってオマンマを食おうとしても痛えから食えねえんです」

「もう二、三日米粒ひとつ食らいやしねえ」

「酒だって痛くてやれたもんじゃねぇや」

「ご隠居さん、俺はね、酒飲んでる時が一番楽しいんだ」

「ちょっとくれえ嫌なことがあっても酒ひっかけりゃあ忘れられるんだ」

「じゃあこの口ン中の痛みを忘れようってんで酒をやると、その酒が滲みて滲みて長屋中を転げまわっちまいそうな程の痛さだ」

「でも薬に金を使うなんて勿体ねえ、そんな金あんなら酒を買っちまいますよ」

「そこでご隠居さんのとこにね、来たって訳なんですよ」

「ご隠居さん、何でも知ってるでしょ?この腫れモン、どうやったら取れますかね」

「流行りのゲームじゃないんだから、玉投げて捕まえるってことはできねえですよ」

 

ご隠居

「なるほど、それは大変ことだが、そんなに痛いのなら無理して捲し立てるように喋らなくても良いと思うがね」

「洒落も無理して言わなくてもいいんだよ」

「口の腫れ物ねえ、滋養が何よりの大事だな」

「ああそうだ、そういえばこの前親類から珍しい薬を沢山貰ったんだ」

「どれ、せっかくだから私がその薬を混ぜてお前さんのために薬を作ってやろうか」

「なに、お前さんとの仲だし、お代なんて取らないよ」

「少し待ってておくれ」

 

八五郎

「へえ、そうでございますか、それなら一つ、へへへ、よろしくお願いしますよご隠居」

「あっしは江戸っ子で気が短けえですがね、日の暮れる時分でも待ってますよ」

「へえ、なんか沢山の粉がありますね」

 

ご隠居

「蝮やら、イモリやら、芥子の実やら、他にも沢山の薬草を粉にしたものを少しずつ混ぜて薬を作るんだ」

 

八五郎

「マムシにイモリですか、何だか気味が悪いや」

 

ご隠居

「薬の調合は終わったが、水に溶かした方が飲み良いな」

「ああ、お前さんここ数日何も食べていないと言っていたね」

 

八五郎

「そうですよ、食いてえって気は起きて腹もグウグウなってるんですがね、腫れモンのせいで・・・」

 

ご隠居

「それではお前さん、この薬を蕎麦汁で溶かしてあげよう」

「蕎麦汁は少し飲んだだけで蕎麦を食べて胃が膨れたような気になるだろう」

「薬はどうせ飲むんだ、腹も満たされた気になった方がいいだろう」

「それにお前さん、大好きな酒もやれてないって言っていたね」

 

八五郎

「そうです、酒が恋しくって恋しくって、でも腫れモンのせいで・・・気が狂っちまいそうで・・・」

 

ご隠居

「それではお前さん、この薬の中に酒も混ぜてあげよう」

「酒は百薬の長なんて言葉もある」

「薬を飲むときはどうせ滲みるんだから、一緒に折角の酒を体に入れてやるのもいいじゃないか」

「ほら、できたよ、まずは一口飲んでみなさい」

 

八五郎

「うへえ、何だか蕎麦汁のにおいに色んなにおいがやたら滅多らまじってて、気味がわるいですがね、これを飲むんですか?」

「じゃあもらいますよ、ん・・・かあーっ、蕎麦汁が苦くなったような味がしますが、腹は燃えるように熱くなってきますねえこりゃあ」

「確かにね、少しは腹が膨れた気がするし、ひさしぶりの酒が体に染み渡るのも分かるし、悪くないですね」

 

ご隠居

「そうかね、それはよかったね」

「残りは瓢箪に入れてあげるから、三日くらいで飲みきるように、少しずつ飲むんだよ」

 

八五郎

「へい、そいじゃそろそろ帰ります、また来ます」

 

それから数日後

 

八五郎

(家の戸を開ける)

「ご隠居さん、いるかい」

 

ご隠居

「おや、八っつぁんじゃないか、どうぞあがっておくれ」

「おや、元気そうじゃあないか」

「この前言っていた口の腫れは治まったかい?」

 

八五郎

「へい、すっかり治りました」

「ご隠居さんにもらった、へへへ、あの薬」

「あの薬はとってもいい薬だねえ」

「腹は満たされるし酒は体に染み渡るし、言われた通り二日三日と分けて飲んだらこの通り、腫れモンなんて綺麗さっぱり消えちまいました」

「それにいつもより目は冴えるし口も達者になって、男前も少し上がったし、相対性理論だって解りそうな心持でさ」

「いやあ、さすがご隠居さんだ、伊達に年食っちゃいないね」

「俺も早く隠居してえもんだ、へへ」

 

ご隠居

「これは挨拶だね、だがお前さんが治って良かったよ」

「元気な方がお前さんらしいや」

「薬もそこまで褒めてくれるなら作ってよかったよ」

「また口に腫れ物が出来たときは同じものを作ってあげるから訪ねておいで」

 

八五郎

「そう言ってくれるならありがてえや」

「ご隠居さん、実はまたお願いがありましてね、また薬を作って欲しいんですがね」

 

ご隠居

「おや、今度はどこを悪くしたんだい?見たところ元気そうだがね」

 

八五郎

「元気ですよ、この通り」

「どこも悪いところはございません」

 

ご隠居

「おや、それじゃあ別の人のためかい?」

 

八五郎

「いえ、あっしです」

「あっしのために作って欲しいんですよ」

 

ご隠居

「けどお前さんは元気だって言ったじゃないか、どうも要領を得ないね」

「それじゃあ聞くが、一体何の薬を作って欲しいんだい?」

 

八五郎

「へへ、口に腫れモンができる薬」